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コラムColumn

【建築主の声】プロデュース会社に土地探しから依頼して実現したガレージハウス。多摩のガレージハウス

条件の合わない中古住宅を探すより、予算内で自分達の想いが反映できる新築住宅を

所在地/神奈川県
敷地面積/104.37m2(約31.6坪)
延床面積/115.12m2(約34.8坪)
愛車(取材時)/1994年式 ランチア・デルタ インテグラ―レEV02/1996年式 プジョー・306カブリオレ/他オートバイ3台
ビルトイン台数/2台

 

中古住宅探しの過程で、プロデュース会社のザウスと出会ったK夫妻。
プロデュースという形にできないサポートを得ることで、
クルマが2台保管でき、部屋数ではなくひとつひとつの空間が広いことなど、
自分達の希望を反映した新築住宅という夢が実現したようだ。

雑誌 ガレージのある家 vol.13 掲載
text / hiroyuki KONDO(近藤 浩之)


濃いグレーのガルバリウムの外壁が印象的で、周囲とは異なる個性的な佇まいのK邸だが、実はオーナーであるK夫妻は新築でのマイホーム購入は考えていなかったのだという。
 
▲ 木造在来建築ながら、大きい開口部や柱のない広い空間がとらえているK邸のガレージ。このガレージはクルマ2台とオートバイ3台を保管してもまだ、空間に余裕が感じられる。
 
K夫妻が当初考えていたのは、クルマが2台入るスペースを持つ中古住宅の購入。そんな中たまたま出会ったのが、土地探しから建築家、施工会社の斡旋(あっせん)まで、住まいづくりをトータルにプロデュースしている「ザウス」が管理する中古物件だったそうだ。その物件は購入にはいたらなかったが、そこからK夫妻とザウスとの付き合いが始まることとなった。
 
▲ リビング・ダイニングスペースが、K夫妻の要望どおり、基本的に仕切りのないひとつの広い空間となっている。この広さを実現できたのは、収納スペースとして中2階に納戸を確保するなど、空間利用の工夫があったからだ。
 

「条件の合わない中古住宅を探すより、予算内で自分達の想いが反映できる新築住宅を」。ザウスとの打ち合わせを重ねる中で新築へと気持ちが傾いていったK夫妻は、自分達で探してきた土地を、ザウスにひとつひとつ調査・確認してもらったという。

▲ 外壁はガルバリウムが使用されているK邸。全体のデザイン的な流れを考えて、ガルバリウムはあえて手間のかかる横貼りとなっている。また、コスト削減のために、ガルバリウムの波を小さくするなどの変更もあったそうだ。
 
「二人とも仕事をしていて、一緒に休みをとって役所にいったりできないので、代わりに土地の情報や周囲の環境までを調べてくれるザウスにお任せしたんです。」
 
▲ キッチンはIKEAの商品。これはオーナー夫妻がデザイン・コストを考えて自分達で探し出してきたものだという。
 

K夫妻はいくつかの候補地の中から、現在の敷地を決定。そしてザウスの3人の建築家による設計コンペを利用することに。K夫妻がコンペの際に3人の建築家に出した要望とは、2台のクルマとオートバイが収められるガレージがあること、仕切りのない大きな生活空間が欲しいこと。採光と風通しがいいこと、2階にピアノが入るかもしれないので、一部の床はピアノの重さに耐えられる強度にすること。バルコニーでBBQができることなどだった。

▲ リビング・ダイニングには、予め配線を中に通したテレビボードが設置され、すっきりした印象を与える。
 
このK夫妻の要望に対し、建築家から三者三様のプランが提案されたが、全ての要望がバランスよく網羅されていたという理由から、矢敷潤建築設計事務所・矢敷氏のプランに決定。その後、予算に合わせて多少の設計変更などが行われたということだが、完成までコンペで提案されたプランから大きく外れることはなかったという。
 
▲ 寝室の「赤紫色」の壁は、K夫妻のオーダー。全体に白のトーンでまとめられているK邸のアクセントのひとつとなる。
 
完成したK邸は、当初の要望通りひとつひとつの空間が大きくとられている。これは、リビング・ダイニングに収納スペースを作らずに中2階に納戸を用意するなど、広い空間作りのための工夫が施された結果だ。また、リビング・ダイニングの3隅には、窓を大きくとったクレーチングのバルコニーを設置し、部屋全体を明るく、窓を開ければ自然の風が部屋に入ってくる風通しの良さも充実している。ガレージに関してもそれは同様で、クルマ2台とオートバイ3台が保管できる広いスペースが用意された。
 
▲ 2面ずつ取られたバルコニーの窓とシンプルな階段が、リビング・ダイニングを広く見せるために一役かっている。
 
ガレージは車の保管とともに、整備作業を行う目的もあったKさんだけに、空間の広さはもちろん、水まわりや工業用の換気扇、コンクリートの床の上に塗られたボージンテックスなど、車いじりが好きなことが伺い知れる仕様となっている。また、シャッターはオーバーヘッドタイプではなく、ガレージスペースの天井部分も有効利用するために巻き上げ式を採用。ちなみに、これらの仕様は、Kさん自身がオーダーしたものだという。引越しからまだ間もないため、工具などまだ全部は揃えていないそうで、実際に整備作業を開始するのはもう少し家や落ち着いてからになるようだ。
 
▲ スペースを効率良く使用するため自転車はポールにセット。また、天井の電源レールにもフレームが吊られている。
 
ガレージ、生活スペースともにK夫妻の要望どおり大きな空間が確保されているK邸。先のガレージのように、生活スペースも広さだけでなく、使いやすさも考慮されており、リビング・ダイニングは後から仕切りを入れて部屋にすることもできるようになっている。また、天井裏にはあらかじめラウンドスピーカー用の配線をしているなど、後あとのことも十分に考慮されているのだ。
 
▲ 広い空間を確保するために、水まわりは全てリビング・キッチンと別の階に集約されている。
▲ K夫妻の当初の要望どおり、バルコニーでBBQをすることが可能となっている。親しい友人などが集まり、バルコニーで調理して、それをリビングで食べるという、半室内的なところが気に入っているのだという。
 

中古住宅探しから、ザウスとの出会いによって、自分の希望を反映させた新築のガレージハウスを手に入れたK夫妻。これからの生活の中で、K邸はさらに充実した空間になっていくことだろう。

ガレージハウスの施工例はこちらから

 

 

矢敷 潤さん

敷地的には難しいものもありましたが、K夫妻のご要望の細かいことまでもらさないように心がけて設計しました。クルマ2台とオートバイが入るインナーガレージと、広いスペースの居住空間という2つの課題をバランスよく、いかにうまく実現できるかが難しいところでしたが、この敷地に対してベストなプランが出すことができたと思っています。 リビングに関しては、中2階に収納を確保したことですっきりとした印象を与え、さらにテラスと窓を囲むことによって明るく広く感じさせることができました。 テラスは一部をガルバリウムで目隠しし、プライバシーを守れるようにしています。K夫妻には、打ち合わせの際も具体的な意見をおっしゃっていただくなど、いい関係で住まいづくりができました。

 

K夫妻とは、土地探しからお付き合いをさせていただきました。土地の購入にあたっては、私たちが第三者の立場で土地の調査やアドバイスをさせていただきました。土地が決定した後は、設計の打ち合わせや施工などとてもスムーズに進んだという印象があります。K夫妻の住まいづくりのご要望は、「出来る限り広い空間のある建物」ということでしたので、予算内に合致できるか心配しましたが、3人の建築家から個性的な3つの案が提出された設計コンペを通して、それもクリアできました。 K夫妻はご夫婦そろってデザイナーということで、積極的にデザイナーの目線から意見をおっしゃっていただき、打ち合わせも楽しいものになりました。

 

所在地神奈川県
竣工2008年3月
敷地面積104.37m2(約31.6坪)
延床面積115.12m2(約34.8坪)
ガレージ面積34.3m2(約10.4坪)
愛車1994年式 ランチア・デルタ インテグラ―レEV02/1996年式 プジョー・306カブリオレ/他オートバイ3台
設計矢敷潤建築設計事務所・矢敷潤
施工株式会社創建社
プロデュースザウス株式会社 ザウス東京店

 

ガレージのある家 vol.13 掲載

発行年月日:2008年11月15日
出版社名:株式会社ネコ・パブリッシング

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